2007年のコラム

   

今月のひと言

当社のコラム担当 「今が好き♪」 氏のコラムです。毎月連載します。

    
2007年 12月号 「夜警」
11月号 「バカ親」
10月号 「がん治療」
9月号  「小淵沢」
8月号  「ばんえい競馬」
7月号  「日曜大工」
6月号  「医者好き」
5月号  「第2の夕張」
4月号  「金魚」
3月号  「東京宝塚劇場」
2月号  「生命保険」
1月号  「大悲願寺」
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12月号 「夜警」

 今頃の夜、毎年寒くなると「夜警」が回ってきます。要するに昔からあった、火の用心を促す夜まわりで、わが町内の年中行事です。住民が持ちまわりで4・5人一緒になり、拍子木を打ちながら近所をまわりますが、筆者は帰宅の時間が特定できないのを良いことに、参加したことがありません。もっぱらわが細君の担当です。週1回の実施、ひと冬1・2回の出番ということです。近頃は、こちらには無関係ながら市内の畑の野菜盗難に備えてのパトロール隊も組織されているようです。

 「夜警」といえば、オランダの巨匠レンブラントの大作絵画が有名です。数年前、オランダ・ベルギーと旅行した折り、この地の定番訪問先、アムステルダムの王立美術館で間近に見ました。美術館の裏側から入場したため、見学終わり近くになって、正面のホールでこの絵を見つけました。たしか、広いホールにこの一枚だけが展示されていて、じっくり鑑賞するための長椅子も備えられ、他の絵画とは明らかに別扱い。縦363cm×横438cmと迫力の大画面、例の斜め上からのレンブラントライトに浮かぶ夜警団隊長と副隊長、それになぜか小柄な女性がいやでも目立ちます。製作に3年を要したといいます。失礼ながら素人でも3年がかりで、3m、4mを超える絵を書き上げたら、そこそこ見られる絵になると思いますが‥‥。

 この夏は「レンブラントの夜警」という映画もベネチア映画祭で評判になりました。惜しくも受賞は逃しましたが、わが国では明年1月、東京で公開予定です。

 お知らせをもうひとつ。今年1月オープンした六本木の新国立美術館ではアムステルダム国立美術館所蔵の絵画を展示した「フェルメール『牛乳を注ぐ女』とオランダ風俗画展」を開催中。秋口から12月17日までの開催ですからまだ間に合います。この絵も現地で見てきました。45cmほどと小ぶりですが、フェルメールの代表作、かの美術館では夜警同様、人だかり多数でした。今回が日本初公開です。

 今年は猛暑の夏に加えて、冬も寒さが厳しいとの予想です。今晩は火の用心をして、暖かくしておやすみください。
 
  


11月号 「バカ親」

 元来、格闘技にはまったく関心はないが、それでもボクシングの亀田親子の行状は聞こえてくる。この親にしてこの子有り、親バカと言うより「バカ親」と呼んだほうが当たっている。10月11日のWBCフライ級タイトルマッチ戦での次男の試合は頭突きに抱え投げ、素人目にもこれがボクシングの試合とは信じられない内容。セコンドの父親とその子供の選手がルールも後先も気にせずの喧嘩試合で、当然の負け。ああいった汚い手が通じると思っていたとは、ボクシング界もファンもなめられたもの。さすがに所属ジムは両者に厳罰処分を科した。次男は負けたら切腹すると、威勢がよかったのに‥‥。

 この父子は昨年、長男のタイトルマッチ戦でも八百長判定勝でチャンピオンに就くなど話題と言うか問題が多かった。TBSをはじめスポーツ紙などがちやほやしたため親子の慢心と傲慢さが増幅され、こうした結果を生んだとも言える。いまは揃って親子非難の報道だ。マスコミの節操の無さにもあきれるが。

 ゴルフ界では横峰親子。父親がコーチ兼キャディで選手の娘にべったり。試合中に父子喧嘩を始めるなど同伴競技者への迷惑などお構いなし。この親を選挙に担ぎ出す政党も政党なら、当選させる国民もおめでたい。子の逆七光りで親がふんぞり返っている。

 レスリングでは例のアニマル浜口。04年アテネオリンピックでは、もうこれ以上出せないという大音量で「気合だ~っ!」をわめき通して、娘選手を金メダルに導いた。うるさくて試合を楽しめないとの他国観客からの非難もなんのその、派手な採点への抗議など、日本人の恥を海外にさらしてくれた。恥のダメ押しに、当時NHKは父親をTVスタジオに呼んでこの絶叫を再現させたのである。最近も、北京五輪出場資格戦で娘が敗退し、一騒ぎあったとも聞く。
 
 子供に稼がせて親が生計を立てるのは途上国の子育てパターンだが、人間に限られる。動物がそうであるように、親の役目は、子が自分の才覚と判断で自立できるようになったら終わり。いつまでも自分の指示や命令で子供を使い続けることは人権上も問題で、子の独立を阻害する。ましてや、プロとなった子供の尻を追う親は醜悪だ。スポーツに限らず子離れできない父親は政治家やタレントにも蔓延している。このバカ集団よ、自覚あれ!

 


10月号 「がん治療」

 親戚の女性が柏市にある国立がんセンター東病院に入院しています。
「がん治療」の拠点病院として国内有数の治療設備・医療チームを有し、わが国トップレベルの病院と言っていいでしょう。つい最近になって、かかりつけの病院で受けた肝臓検診時のX線写真に、たまたま右肺下葉が写り込んでいて、そこに腫瘍が見つかったもの。がんセンターでの気管内視鏡により肺がんと診断されました。検査データーや症例を検討して最適な手術・治療が早急に実施されるとのことです。

 現在では治療法が進歩し、がん発症、即余命数ヶ月といった考えはなくなり、手術後の5年生存率も病院間格差があっても80~99%と高率。一昔前までのように、不治の病と目され、本人や周囲に伏せて治療に当たるといったことはなくなりましたが、それでもわが国の死亡原因第一位、交通事故死の30倍、心疾患・脳血管症を合わせたよりも死亡者数は多く、毎年30万人(2006年統計では32万9千人)ががんで亡くなります。

 がん治療といえば従来、外科療法による患部の切開手術が主流でしたが、同じ摘出手術でも身体に開けた数ヶ所の穴にチューブを通しそこにカメラ、電気メス、鉗子類を差込み、モニター上で切除摘出してしまう腹腔鏡下手術が注目されています。切開せず、傷も小さく、術後の入院も数日と、回復も早いことから対応できる病院も増加中、昨年ソフトバンク王監督の胃がん摘出もこの方法で行われました。他に放射線源の微細カプセルを患部周辺に100個ほど埋め込んでがん細胞を徐々に死滅させる小線源医療も出現して、放射線治療も進化中。更に
ここ数年、重粒子線治療法が治療の決定版と評判です。要はがん細胞に粒子を打ち込んで粉砕してしまう療法。原理的には一日で退院も可能とか。難点は直径90mにも及ぶ量子線加速装置(サイクロトロン)が必要であること、治療装置の投資額は100億円以上、保険適用外で手術費自己負担300万円と、簡単に治療が受けられる状況ではありません。

 対応病院は上述のがんセンター東病院を皮切りに、筑波大陽子線医学利用センター、兵庫県立粒子医療センター、重粒子医科学センターなど、医療認可後6年でまだ6病院のみ。最先端技術とは言え改良の余地が多そうですが、人類のがん克服の過程がまた前進したことは間違いなさそうです。


9月号 「小淵沢」
 「小淵沢」に行きやすくなった。この6月、圏央道のあきる野インターから中央道の八王子ジャンクション間が開通し、あきる野市の拙宅から中央道方面への行楽がずっと便利に。休日の夫婦日帰りドライブでは、甲府・清里・小淵沢・諏訪方面、頑張って馬籠・妻籠も往復可能と目的地選びに迷うほど、中央道沿線は見る遊ぶ食べる買うスポットが豊富で、飽きがこない。

 さて小淵沢、昨年3月北杜市(ほくとし)と合併して町から市になったばかり、もっとも北杜市にしてから、平成16年白州町、須玉町など山梨県北巨摩郡一帯の合併で誕生した新市、まだなじみが薄く、元の町村名の方が通りが良い。市は八ヶ岳山ろく一帯を市域に持ち高原リゾート市を標榜、小淵沢と清里周辺を主要地域に据えているが、清里は首都圏からの観光客も多くもともと有名、小淵沢の売り出しに力を入れているようだ。

 小淵沢IC出口すぐに「花パークフィオーレ小淵沢」、紹介しておいてなんだが、どこにでもあるフラワーパークでお薦め外。IC北1キロほど、十字路角の道の駅「こぶちわざわ」は工芸体験コーナーが充実、併設の温泉施設「スパティオ小淵沢」と合わせてかなり遊べる。一推しはここから東南1.5キロほどの「リゾナーレ小淵沢」。宿泊したことはないが3度訪問。ホテル、ウエディング、ショッピングモール中心のリゾート施設。ヨーロッパの町並みを模した通りに北欧雑貨・陶器・アンティークなどの店が並びなかなか楽しめる。このホテル建築、イタリアの有名デザイナーの設計で、出色のできばえと評判だったが、経営不振からオーナーが交代、今日の興隆は現オーナー(軽井沢星野温泉の系列)の再生策によるもの。もう一つ、この夏見つけたレストラン「小淵沢ウエルネスガーデン」。先の道の駅十字路西100Mほどにできた、マクロビオテック料理店(久司道夫創設、ヘルシー、オーガニック料理の類)。ランチ・野菜カレーなど1000円以下、レストランの雰囲気はシティホテル並み、緑の庭を見ながら、ゆったり食事ができ、この界隈のお薦め店。他に、八ヶ岳リゾートアウトレットも至近。是非一度、小淵沢にお出かけあれ!


8月号 「ばんえい競馬」
  馬そりレースで有名な帯広の「ばんえい競馬」を見てきました。日通旅行の格安ツアーを利用し、毎年6月末から7月上旬頃、高校同期のゴルフ仲間8名と北海道2泊でゴルフ2ラウンドと観光を楽しんでいます。新千歳空港・旭川空港基点でのツアーを終え、今年は帯広空港となった次第。到着日と最終日がゴルフ、宿は十勝川温泉。なか日はワンボックスレンタカーでの観光です。例の廃線となった愛国駅・幸福駅に寄り、十勝ワインの本拠地、池田町の
「ワイン城」でステーキとワインのランチを堪能。その夕刻、帯広市内に入り、たまたま競馬場の前を通って「ばんえい競馬」が開催中であることを知ったもの。

 入場料は一人100円、当日は12レースが組まれ、観覧席に着いたときは第6レースが開催中。経営不振から運営が市からソフトバンクに移りましたが、日曜日のせいか盛況のようで1000名ほどの入り。馬場は直線200m、途中に坂の障害物(こぶ)が2箇所、8~10頭が出走します。そりは重さ1トン、ここに騎手が乗りこれも重さ1トンの農耕馬が引いて、坂を越えるのが圧巻。2番目の坂はきつく、手前でどの馬も一時休止、息を整えてから一気に駆け上がります。所要時間2分前後、スピードに欠けますが観戦には力が入ります。今年から女性騎手が一人出場、投票してみましたがあえなく下位グループでした。今後の活躍に期待しましょう。結局筆者の場合は、7~9レースに各1000円、馬番・枠番の連勝複式のみに賭けましたが、8レース馬連複410円2枚が当たったのみ。仲間内では単勝で5000円以上を当てた者もいましたが総じて惨敗、暮れて寒くなったのを機に残りのナイターレースを見ずに夕食としました。

 ここで競馬主催者に提案があります。場外馬券売り場が道内に数箇所あるようですが、是非、帯広空港待合室にも設置ください。出発が遅い時間のため帰路、2時間以上待ちました。ここで馬券が買えたら、ラスベガス空港のように出発間際まで賭けを楽しむことが出来ます。空港の名物となり、競馬場経営にもきっとプラスになるでしょう。あっ!ゴルフの結果については特に報告することはありません。


7月号 「日曜大工」
 思い出したように「日曜大工」をやりだしたりします。大工趣味は昔からで、小学生の時分は大工さんになりたいと思っていました。川口(埼玉県)に大工の叔父がいて、我が家(東京江東区)の改修や近所の家の増改築を頼まれるとよく家に泊まりこんで仕事をしていました。休みの日は一日中おじさんの仕事ぶりを見ていて飽きることがありません。長い柱のカンナ掛けで、薄い削りくずが、帯のようにひとつながりでカンナから舞い上がる様に恍惚状態でした。後年分かったことですがカンナ掛けはカンナを引く職人技もさることながら、刃を一定角度で鋭利に研ぐ、台(本体)下面の平面精度を出すなどの技術がより重要です。おじさんは仕事を終えた後はノミやカンナをはじめ、道具の手入れを欠かしませんでした。実際、正確に調整されたカンナを使えば我われ素人でも結構うまく削ることが出来ます。余談ながら欧米のカンナは押して削ります。ハワイ旅行の折、押しカンナを買って帰りましたが、形がグロテスクでいまだに試していません。

 大工道具はひととおり持っていましたが、道具の進歩が操作を容易にし、生産性を向させるのはどの世界でも共通。大工道具も今では全て電動化され工作精度も能率も手道具の比ではありません。筆者の場合は現在の家を建てた際に、フェンスは自分で作ることにし、工務店見積のフェンス建造費相当の資金で、のこぎり・カンナ・ジグソー・サンダー・ドリルドライバーなど電動工具一式を購入。米松材主体で無事敷地全周のフェンス・門扉を完成させました。この木造フェンスはペンキの塗り替えと腐食部分の交換が必須、保守が大変で15年ほどで見切りをつけ、アルミフェンスに交換しました。こちらもDIY作業で、近所の建材店から部材キットを取り寄せ、振動ドリルとディスクサンダー、充電式インパクトドライバーを追加して、近所から「うちも頼みたい」など揶揄されながらも完成。今度は10年を経過しても不都合はありません。食堂テーブルとベンチ、横2.7メートル3人続きの子供用勉強机も作りました。最近の作品はトリマー、充電鋸をレパートリーに加えての飾り戸棚。大工仕事より塗装が大変でした。今、構想中はライティングデスクですが着手時期は不明です。   


6月号 「医者好き」
 案外「医者好き」です。歯医者の定期点検を怠ったおかげで、2年ほど前に処置した入れ歯の前後を支える歯の一本が虫歯になり、結局虫歯を治療した後、3連のブリッジにしてもらいました。この間2ヶ月、先週治療が終わり、3ヶ月後にまた点検の案内状がくるそうで、今度は早めに行こうと思っています。今は左手小指の皮膚炎、今年の2月ころからかゆくなり、なかなか直らず、
周りに広がる気配。会社の近くの皮膚科に行きました。医者は一瞥したのみで「単なる湿疹です」と言ってどの家にもあるような副腎皮質ホルモンの軟膏をくれましたが、全然治る気配がありません。この先生は勉強が必要です。
だいたい、患部は乾いてかさかさ、薄赤く縁取りされて湿疹とは思えません。皮膚病は皮膚をピンセットでつまみ取り、顕微鏡で見れば菌や病名がすぐに判り、適切な治療ができるはず。この診察室に顕微鏡はありませんでした。総合病院に行くことを考えています。

 高血圧でひと月おきに通院し、毎朝2錠の降圧剤を常用しているのを別にして、風邪で休むということもなく、入院経験もありませんが、毎年なにかで医者の世話になっているように思えます。

 60歳到達時の頸椎ヘルニアにはてこずりました。最初は右、次に左手がしびれてゴルフクラブのグリップも難儀に。訪れた整形外科のMRI断層写真で、第2・第3頸椎間の椎間板(ゲル状のクッション)が押し出されて神経を圧迫している様子がバッチリ。姿勢の悪さが原因か、要はこの椎間板をへこませればよいとのこと。最初は頭を引っ張る牽引機で通院。次、中国整体マッサージ。次、通称電気。さらに鍼・灸と1年以上かかってほぼ完治、治療の何が決定打か不明ですが現在では何の支障もありません。50代はじめでは、後頭部が重い、痛いという感じで脳腫瘍を心配して脳外科に。この時はCTスキャンで頭部の輪切り写真を撮りましたが、医者は何も見つけられず不満げに、「何でもありません。頭痛でしょう」。原因は後の人間ドッグで高血圧と分かりました

 肝臓に8ミリほどの血管腫、胃にはポリープが常駐、これら治療予備軍と仲良くしている日々。尿酸値も高めで食事療法中、ビールのうまい季節を迎え、悶々としています。


5月号 「第2の夕張」
 「第2の夕張」探しが盛んです。夕張市が財政再建団体に指定されてから、にわかに市町村財政への関心が高まりました。夕張問題が我われに投げかけた課題は数え切れませんが、自治体と住民の意識改革をうながしたと言う点は、失礼ながら功績とも言えます。

 大和田一紘(いっこう)さんという地方財政に関する著書や講演で活躍中の市民運動家の話を聞きました。6期24年勤めた市長の独走が夕張破綻の原因と思っていましたが、主因は炭鉱町再生に遅れをとったことで、そこに小泉構造改革による国の産炭地域補助金の停止、三位一体改革による地方交付税の減額、加えて道が推進した観光リゾート政策の失敗が市の息の根を止めたと言います。九州や他の炭鉱は近隣都市のベッドタウン化などで生き延びましたが、夕張は市域が広く、都市から遠いというハンディを克服できずにいたのです。いわば、国策で生まれ、国の政策変更で衰退した炭鉱都市との指摘です。「国や道の政策に一番忠実に従った優等生が夕張市だった」(片山前鳥取県知事の県議会発言)とは、市民にとってもやりきれない思いでしょう

 さて、東京都での第2の夕張候補はわが町「あきる野市」が最有力との評判です。市は建設ブームもとっくに下火になった今頃になって市営温泉「瀬音の湯」を最近オープンさせました。実は市民ボランティア団体「あきる野市の温泉を考える会」の報告会(参加者30名、年配の男女半数)にたまたま参加し、先の大和田さんの講演を聞きました。市は合併特例債による借り入れで市庁舎をはじめ中央図書館なども建設し、現在の債務残高は1000億円にのぼります(夕張市は260億円で破綻)。温泉も起債等で建設費25億円を投じましたが、設計のずさんさ、収支計画の不備などをテレビ報道でも批判され、案の定、オープン以前に赤字必至とのことでした。会の終わりにいくらかカンパをして帰りましたが、つぶれる前に一度は温泉に行って見たいと思っています‥‥。  

 不名誉ついでに、わが市は例の小中学校の給食費不払いも年間1226万円あり、都内ではトップクラス。住民のレベルが押し測られますが、市西部は五日市憲法発祥の地、憲法9条で平和を守る「あきる野9条の会」という会もあるそうですから、いくらか救いはあります。


4月号 「金魚」
 庭に置いた水がめに金魚がいます。もともとは睡蓮を植えるために買ったかめでしたが、ずっと手軽なホテイアオイとウオーターレタスを浮かべることにしました。金魚を飼ったのはぼうふら退治のためで、1匹40円、金魚すくいで使うような3~4cmのものを5匹入れたのが始まり。直径高さともに50cmほどのかめで、浄化装置や空気ポンプは無し。夏場はたいへんです。すぐにあおこが発生し2週間ほどで金魚が見えなくなってしまい、頻繁に水のいれ替えが必要です。金魚に無害なあおこ抑制剤があれば使って見たいと思っています。もうひとつ、ホテイアオイとウオーターレタスも問題で、1株が見る見るふえ、2・3週間で10倍ほどになってしまいます。増えすぎた分は捨てなくてはならず、冬は枯れて結局全部処分する羽目に。今ではやめてしまいました。

 金魚には水草という思いがありますので、次は普通に売ってる金魚藻(ガボンバ)を入れてみましたが、こちらも金魚がたべるのか長持ちせずに消滅。ところが最近有望な水草が手に入りました。この1月に茨城県八郷町の友人宅の鯉池で青々と繁殖している水草を見て、分けてもらいました。図鑑ではクロモの1種でアナカリスとあり、結構ポピュラーなようです。無事越冬しました。これなら通年使えそうです。

 実は今いる金魚は2代目。最初の5匹は3匹が次々に他界、残った2匹は2年ほど生きて20cmを超えるまでに成長しましたが、水替えを怠ったせいか、昨年夏に体に白いカビのようなものができて、結局全滅。現在泳いでいるのはそのあとすぐに買った同じ40円金魚。こちらも5匹買いましたが同じような経緯で現在2匹。このかめの定員でしょうか。いまは15cmほど、暖かくなってえさを食べ始めました。

 金魚はフナから派生しましたから育つと30cmにもなるそうです。本来の目的であった睡蓮を植えることを忘れたわけではありませんが、こんどは少し飼育の本でも読んで、金魚の巨大化に挑戦しようと思います。


3月号 「東京宝塚劇場」
 「東京宝塚劇場」に行ってきました。03年1月の本稿で宝塚大劇場について書きましたが、やっと宝塚歌劇を見ることができました。女性が一度で病みつきになるのも判らないではないですが、我々には非日常、女の異次元世界とでも言いましょうか、それでも華麗なタカラジェンヌ‥前稿でヅカガールと言いましたが今は使われないとのことでした‥たちの舞台を堪能しました。一度で十分ですが、宝塚がまだの方には見ることをお勧めしておきます。

 宙組(そらぐみ)の維新回天と題した坂本竜馬伝とザ・クラシックと呼ぶグランドレビューで、休憩を入れての3時間、芝居と踊りの2本立てです。トップスターの貴城(たかしろ)けい、娘役トップ紫城(しじょう)るいの2人ともが、この公演を最後に引退するという触れ込みもあってか、火曜日昼、S席8000円を中心とした高めの入場料もなんのその、2000席を越す客席は中高年女性を筆頭に満員でした。オーケストラボックスも備えられて、なかなかの生演奏。常連客のリードに従って、要所々々での拍手のタイミングも覚え、同じようなメイクも見ている内に見分けられるようになって、トップより2番手・3番手の男役のほうが良かった~など、結構楽しみました。

 かつて、宝塚と並んで隆盛を競った松竹歌劇団(SKD)・東宝の日劇ダンシングチーム(NDT)も今は無く、当の宝塚も衰退の途上にありましたが、昭和49年、例の「ベルサイユのばら」で文字通り起死回生の大ヒット。以後ファンが急増、花・月・雪・星組の従来組に加え、宙組新設、大劇場・東京劇場の改築と興行成績を伸ばしました。今やわが国劇場文化の担い手として欠くべからざる存在です。劇団発足は大正2年、今年は1月に創設者小林一三(いちぞう;山梨県出身の実業家・阪急電鉄創始者)の没後50年追悼記念公演も行われました。

 阪急電車、大阪・宝塚間の利用客を増やすために劇場建設と少女歌劇団を思いついたことが始まりとか。90年前のアイディアが今は花開き、阪急のみならずJR東日本の乗客増にも貢献しています。


2月号 「生命保険」
「生命保険」の契約者懇談会に招かれ、S保険本社・支社・支部のマネジャーの方々と会談する機会がありました。生命保険会社の経営形態は多くが相互会社です。相互会社は契約者が社員であり、会社の運営に参画し、利益の配当還元を受ける組織というのが建前ですが、大部分の契約者は運営にはノータッチ、保険会社の職員(従業員)に任せきりが現状。配当も株式配当より不透明、その上、D生命の3大疾病特約の不払い発覚などもあって、社員どころか被害者と呼ぶほうがふさわしい存在。結局、支払申請制を悪用し、保険会社側でも、契約者イコール社員などと言う意識はまるっきり無いことを証明したようなもの。最近では三井生命や大同生命が株式会社に変りましたから、業界の体質がいくらか改善されるかもしれません。

 さて、折角の懇親会ですので、ひとつ提案をしました。生命保険というと死亡・入院病気・介護など、死ぬリスクについての保険を想定していますが、ここ数年の高齢化社会の進展で逆のリスクも顕在化してきました。「長生きするリスク」です。

 昔のように早死にで、余生が多少長引いても子供任せであれば、老後の心配はありませんが、昨今は自分の老後は自分で守らなければなりません。  

 持てる財産や年金を基準に90歳まで生きるとして設計した計画は、それ以前で亡くなれば良しとしても、それ以上の長生きでは破綻してしまうでしょう。かと言って、100歳までの計画では、破綻のリスクはなさそうですが、生活レベルは低下します。つまり、いずれにしても長生きすればするほどリスクが増加します。提案は計画以上の長生きをした場合に、以後の生活を保証する保険商品を開発してほしいと言うことです。契約時の平均余命をクリアしたら支払う「余命保険」、余命以上の申告年齢到着時に支払われる「ご長寿祝賀保険」など、もちろん年金形式で。亡くなった保険加入者の残した財産を保険金支払に回すと言う契約なら財源も確保できそうですが、こうまでしては行き過ぎ (生き過ぎ)でしょうか。保険会社のアイディアに期待しましょう。


1月号 「大悲願寺」
 「大悲願寺」という真言宗のお寺が近くにあります。最寄り駅は五日市線武蔵増戸駅。例の仙台藩主伊達政宗が境内に咲く白萩を見て、後に、一株ほしいと書き送った手紙が残っていることで有名です。この花のお陰で東国花の寺百寺にも選ばれました。筆者の次女はお寺併設の幼稚園を20数年前に卒園、また、境内は愛犬の散歩コースのひとつにもなっていますからなじみの寺と言ってよいでしょう。東京を代表する古刹で、庫裏・本堂は改修が済み新しくなりましたが、仁王門は古色蒼然で修理待ち。国の重文「阿弥陀如来三尊坐像」を納める観音堂は現在修理中ですが、萱葺き屋根が輝く銅板葺きになって、模様替え終了。軒下周辺の彫刻の色彩補修もまもなく終える模様で、この正月には新装お披露目が出来そうです。

 3・4年前、このお寺にもうひとつ自慢が出来ました。四国八十八ヶ所遍路道を模した散策道ができたことです。1番霊山寺から23番寺までの「発心の道場」に始まり、39番まで「修行の道場」、65番まで「菩提の道場」、88番大窪寺まで「涅槃の道場」と、境内から裏山に渡って道が続き、本場の順序に従って八十八体の石仏が配置されています。彫られている仏像はそれぞれの寺の本尊。石仏の下には各四国霊場の砂が納められているとのことです。ざっと見て回るのは別にして、ひとつずつ手を合わせ、お参りしながら一周すると、1・2時間はかかりますから、お手軽遍路めぐりとは行っても、それなりの功徳があるかも知れません。こちらにお越しの際は是非立ち寄ってください。

 大晦日の晩は寺の鐘が参拝者にも解放され、除夜の鐘を突くことができます。並んだ順に鐘楼に上がり、ゴ~ン。一人一回、108珠の大数珠を回して打った回数を数えますが、老若男女取り混ぜて例年参加者が多く、相当数がおまけで打たれます。うち終わったあとは焚き火とふるまわれる甘酒で体をあたため、正月の挨拶をかわしてから散会、家に戻ります。戻ってから夫婦で改めて熱燗で乾杯!あけましておめでとう、という次第。

 本年もよろしくお願いいたします。

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